雑記(主に政治や時事について)

日々の雑感。政治色が高い目。

本人の証言を待たずして、安倍昭恵の関与が確定となった

f:id:po_jama_people:20180319182205j:plain

昨日の参議院予算委員会にて、基本的に安倍晋三内閣総理大臣、及び安倍晋三衆議院議員は死亡しました。本人にはその自覚ないので、まだ辞めないと思うけど。

www.asahi.com

 

 

「決裁文書に昭恵の名が書かれている」の意味を理解しているのか?

改竄前の森友文書に昭恵の名前が記載されていることが開示されてもなお、安倍晋三は国会答弁で相変わらず森友学園の設立や土地取引に、私や妻は関わっていない」と繰り返している。「改竄前文書によって、むしろ関わっていないことが証明された」とまで主張する始末である。

昨日までずっと意味がわからず、安倍晋三の答弁を聞くたびに、脳みそが痒い思いをしていた。自分の認識となんでこんなに噛み合わないのかよく分からなかったが、ふとある結論に思い至った。

 

安倍晋三って、もしかして実務担当者として、一番下から自分で稟議書や決裁書などを起案して、上の方まで通すとかやったことない? あるいは少なくともその意味を理解していない?」

 

でなければ、決裁文書に安倍昭恵の名前が載っていて、「自分や妻は関わっていない」はありえないのである。自分と認識がずれるはずである。*1

 

決裁文書とはなにか?

読者の方に学生さんなどもいるかも知れないので、きちんと解説しておこうと思う。

今回の決裁文書、一般的には「決裁書」とか「稟議書」とか呼ばれるものである。「決裁書」は最終的な決定者は個人、「稟議書」であれば合議の形をとる。

どちらにせよ、文書の記載内容によって起案された事項の可決/否決を判断するための文書である。一般的に官庁であれ一般企業であれ、重要事項の最終決定はこのような決裁文書によって承認をした形を取り、その組織の規約で定められた期間、文書に変更を加えることなく必ず保管する。

それは何故かというと、その決定に至るプロセスとその判断根拠が、その組織にとって正当且つ適正なものであったことを、後々まで証明できるようにするためである。

また、起案者にとって決裁文書とは、その決裁を上に対して「どうか承認してください」という意思を示す為に起案するものである。そのため、決裁のために必要な根拠となる事物のみを客観的な形で記載し、不要な内容は一切記載しない。そういう文書なのである。

 

で、今回の森友学園の決裁文書については、下記財務省のリンクに記載されている「決裁文書の書き換えの状況」のPDFを読んでも分かる通り、事案の経緯に関わる部分や学校法人森友学園の概要についての記載が大量に削除されている。

www.mof.go.jp

 

菅義偉は「決裁文書の主文というか本文はほとんど変わっていないのだから、改竄ではなく書き換えである」などと言っているが、主文など、どんな決裁文書でも決裁内容の骨格しか書かないのだから、変わらないのは当たり前である。

問題は、その決裁がどのような根拠で承認されたのかである。添付書類も決裁書の一部であり、決裁の根拠となる内容が記載され、また決裁と関わりのないことなど一切記載されない。

その中に、安倍昭恵が何度も森友学園に訪問している事、平沼赳夫など様々な政治家が関係する役所に働きかけた事、籠池の名刺に日本会議の肩書が記載されている事、日本会議の役員に麻生太郎平沼赳夫安倍晋三が名前を連ねている事が記載されていた。そして改竄後にはこれらは全て削除されたのである。

安倍昭恵麻生太郎平沼赳夫安倍晋三。全員決裁に関係しているではないか。もちろん彼らは決裁者ではないし、起案者でも、中間職でもない。そんな事は当たり前である。しかし、決裁の根拠として、彼らの働きかけが記載されているのである。*2

つまり、この決裁文書が存在している以上、事実として、安倍晋三の言う「森友学園の設立や土地取引に、私や妻は関わっていない」は論理的に通用しないのだ。*3

 

太田理財局長による止めの一撃

だが、安倍晋三の言うように「森友学園の設立や土地取引に、私や妻は関わっていない」と言い逃れる余地はまだあった。

それは「財務省は、決裁文書に全然関係ない人物を載せてしまうほどボンクラな仕事をしている役所である。そのため、うっかり載っけたまま決裁までしてしまったが、あとから振り返ると、佐川理財局長の国会答弁とも整合しない感じだし、何だか不味いよね、という事で、決裁に関係ない部分を削りました」というストーリーである。つまり、決裁文書のほうがメチャクチャなのであって、安倍昭恵らは勝手に名前を書かれただけで、財務省の意思決定には事実として一切関係がなかった、という話に持っていく事だ。

もちろん、「最強の官庁」「官庁の中の官庁」と言われる財務省の、そんな間抜けなストーリーなど誰にも説得力がないのだが、「財務省が自主的にやった」という意味のわからないストーリーに持っていくには、もはやそれしかなかった。太田理財局長が、そして全財務省が、安倍晋三を守るためにプライドをすべてかなぐり捨てるなら、その道はまだあった。

だが、共産党小池晃による、太田理財局長の理性への信頼が、その道をも塞いだのだ。*4

小池:なんで国会議員でもない安倍昭恵さんの動向が、決裁文書に記載されているんですか?
太田:それは基本的に、総理夫人だということだと思います。

 

この太田理財局長答弁を引き出した瞬間の国会の反応たるや。そして、一方のその後の安倍晋三の反応はそれほどでもなかった。少なくとも、大臣席から野次を飛ばすようなことはしなかった。

やはり事の本質を最も理解していないのは、安倍晋三なのではないかと思う。自分が安倍の立場であれば、どんな無理筋の反論であると分かっていても、大臣席から必死で反論の野次を飛ばしていたであろう。

小池:重大な発言ですよね。総理夫人なんですよ。まさにね。国会議員以上に配慮しなきゃいけない存在なんですよ。だから決裁文書に登場してきてるわけじゃないですか。
小池:これはね、やっぱり(森友学園の国有地売却を)特例承認にするにあたって、森友学園に昭恵総理夫人が関わっていることが、極めて重大な要素だったということなんですよ。だから変えたんですよ。

 

小池晃はやはり理性的で、常識があり、そして実務を理解している。安倍晋三はその真逆である。

そして、これまでの安倍政権による数々の、ざっくり言ってしまえば依怙贔屓体質であるが、ここに至ってその起因がよく分かった。

結局のところ起因は、安倍晋三が、組織による意思決定や責任のあり方という、サラリーマンであれば誰もが把握しているであろう職業倫理を、歯牙にもかけない人物であるという事なのである。

それが非常に端的に表出しているのが、安倍晋三の「森友学園の設立や土地取引に、私や妻は関わっていない」なのである。

 

総理大臣も国会議員も、どうぞお辞めください

日本国政府という、日本で最も巨大な組織のトップに立つ安倍晋三。そのトップが組織的な意思決定とはどのように行うものなのか、そのプロセスの意味をロクに理解していないというのは、まさに狂気の沙汰である。原子炉の運転をチンパンジーがやっているようなものである。*5

自動制御装置やらなんやらがまともに動いているうちは事故は起こらないであろうが、事が起こればすべて終了である。そして、事故はまさに起こりかけている。決裁文書の改ざんとは、まさにシビアインシデントそのものである。

 

安倍晋三内閣総理大臣、及び安倍晋三衆議院議員。どうぞお辞めください。それは日本国の安寧のみならず、あなたと、安倍昭恵夫人、お二人の末永いお幸せのためです。

総理大臣など所詮は一時の仕事。お二人の人生はこれからも長い。一時の仕事のために、今後の人生ずっと人格や常識の有無を疑われるのは、あまりにも勿体無いじゃないですか。

*1:御本人の言葉通りなら、神戸製鋼のサラリーマン時代には、何億円もの仕事をやっていたはずなんだが……。

*2:多くの日本人の感覚が麻痺しているから、あまり盛大な突っ込みになっていないが(そしてそれ自体大変気がかりだが)、8億円の土地取引の正当性の根拠を示す決裁文書に「安部首相夫人が森友学園を訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される」(「安部」は原文ママ)が記載されている事実自体、ホラーであるとしか言いようがない。日本はとんでもない国家になってしまった。

*3:改竄前の決裁文書から、サラリーマンの自分が思うことはまず、この文書には「無茶な取引だが、これだけの政治家や政治関係者の圧力により、飲まざるを得ない取引なんです」という魂の叫びが塗り込められているという事である。また、通常は決裁書類に「本件の特殊性に鑑み」など書くはずがない。一般企業の決裁文書にこんな文言が書かれ、上の方にまで通ることになった場合、まず法務部長が真っ青な顔をして、起案した部門の責任者の所に飛んでくるはずである。そして「何だこの決裁は? まさか反社と関係した取引なのか!? 特殊性とは一体何の事なのか、説明してみろ!」と詰めてくるはずである。そんなレベルの、本当に酷い決裁文書である。関わっているのが反社なのか、政治家なのか、違いはそのくらいしかないような取引である。

*4:この状況に至った伏線として、その前に行われた自民党和田政宗との質疑があったのではないかと、自分は勘ぐっている。

和田:まさかとは思いますけれども、太田理財局長は民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めておりまして、増税派だからアベノミクスを潰すために、安倍政権を貶めるために、意図的に変な答弁をしているのではないですか?

この質問に対し、太田理財局長は感情を露わに反論した。

太田:私は公務員として、お仕えした方に一生懸命お仕えするのが仕事なので、それをやられるとさすがにいくらなんでも、そんなつもりは全くありません。それはいくらなんでも、それはいくらなんでも、ご容赦ください。

和田は、現在進行系で安倍晋三を守るために必死で答弁している太田を、「お前は野党シンパだからそのような不味い答弁をしているのか?」と公開の場で恫喝したのである。恐るべきパワハラモラハラ体質である。それに対して毅然と反論した太田理財局長の姿。これも今回の国会におけるハイライトになるのではないだろうか?

そして、これで恐らく全省庁が反安倍政権となったであろう。

*5:そういえば、以前に国会で、大臣席から「ニッキョーソ! ニッキョーソ!」と野次を飛ばしたときの顔、マジでチンパンジー顔だったな。

f:id:po_jama_people:20180320105226j:plain