雑記(主に政治や時事について)

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自衛官による小西参議院議員罵倒事件 ~国家が崩れ落ちていく~

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最近、政治に関して、ただただ言葉が出ないような事ばかり起こり、考えをまとめる前にまた次のことが起こる始末で、まとまったことが何も書けないでいる。

だが、今回はちょっと異常すぎる事態が起こっているので、久しぶりに書こうと思う。

民進党の小西参議院議員が、自衛官、それもなんと防衛大学校卒のキャリア幹部から路上で罵倒されたという話である。

mainichi.jp

 

 

小西参議院議員自衛官が罵倒することの問題点

国会議員は言うまでもなく、選挙で選ばれた国民の代表である。与野党どの政党に属する(あるいは属していなくても)国会議員であれ、間違いなく国民の代表である。

そして、自衛官を始めとした公務員の一番の上司は誰か。それは「国民」である。そのことは、憲法にも国家公務員法にも明記されている。そのことは、ざっくりと、「全体の奉仕者という言葉で表現されている。

kotobank.jp

 

上記からも分かる通り、個人の信条としてどのような思想を持っているのであれ、国民の代表たる政治家を自衛官が罵倒するなど、絶対にあってはならないことである。

 

しかも、自衛隊は周知の通り、実力組織である。日本国の最大の暴力組織である。その力は、あくまでも国民全体に奉仕する目的で彼らに付与されているものであるが、その「国民全体に奉仕する」という建前は、「シビリアン・コントロール」という考えのもと組織が運営されている前提によって担保されている。

自衛隊がもし「シビリアン・コントロール」から離れ、小西やその支持者を「国民の敵」として排除しようとするのであれば、本気になれば難なくやってのける。日本に自衛隊以上の力を持った組織などないのだから、当たり前である。*1

まして、今回小西議員を罵倒したのは幹部クラスの自衛官である。「シビリアン・コントロール」を自衛隊全体に浸透させる側の人間である。一体自衛隊の組織はどうなってしまったのか? 極めて深刻な状況であるとしか言いようがない。

 

今日、「日本会議の研究」で知られる菅野完氏……というかノイホイ氏が小西議員にインタビューをした。その中で語った内容を聞くと、どうもその自衛官は小西議員を罵倒する機会を狙って待ち構えていたというわけですらなく、ふと偶然に出会ってそのような経緯になったようなのである。であるなら、自衛隊の中で、一部の政治家を「国民の敵」や「売国奴」などと考えるような者が一定程度の割合で存在しているのではないだろうか? というような推測までできてしまう。

インタビューの中でノイホイ氏は「クーデター5秒前だ」と言っていたが、大袈裟な物言いとはまったく言えない。繰り返しになるが、自衛官が路上で偶然であった国会議員に対して、いきなり「お前は国民の敵だ」と罵声を浴びせたのだ。もうこの次のフェーズは、このセリフと共に国会議員の家に押し入り、相手を銃殺することくらいしか考えられないではないか。*2

小西議員は、小野寺防衛大臣と河野統合幕僚長の辞任を求めたという。この衝撃的な出来事に対して、全く当然の、今夜中に即時にでも行われなければならない人事であるが、完全にモラルが崩壊した安倍政権では、もはやそんな事は期待できないと自分は考えている。

 

全ては一連の流れである。

ノイホイ氏は、インタビューの中で何度も「国の底が抜けた」と言っていたが。正直自分も同じ思いである。

また、安倍政権の異常な政治を起点に、国のモラルが総崩れしてしまうことについて、以前下記のエントリーで書いた。

www.po-jama-people.info

 

モリカケや稲田の防衛相就任に見られるような縁故主義。その縁故主義を隠すために行われる事実の隠蔽や虚偽答弁。その隠蔽や虚偽答弁すら下手くそすぎて、後から後から事実が明るみに出て、すべてが後手に回る醜態の数々。

最近新たに判明した政府のスキャンダルである、福田財務事務次官による女性記者へのセクハラ問題など、対応の酷さに目眩がする思いである。セクハラの場面の音声まで公開され、自身も音声は自分のものであると認めたにもかかわらず、一転して疑惑を否定するばかりか、なんと報道機関への提訴をちらつかせて圧力をかけ、挙げ句財務省は女性記者に「被害者なら自ら名乗り出るように」などと言う始末である。次官のセクハラが事実か否かに関わりなく、この対応は醜悪で不適切。呆れるばかりである。

www.sankei.com

 

これらが断罪されず、なんの根拠もない「他に代わりがいない」という気分で看過され、安倍政権が継続するなら、100年先、ヘタをすると1000年先にまで、日本人のモラルに影響を与え続けることになるだろう。

また、自分には、全ては第2次安倍政権以降に生まれた一連の流れの中にあるように見える。縁故主義、事大主義、思考停止。こういったものを隠そうともせず、周囲にも押し付ける人間が組織を動かすとどういうことになるのか、その政治運営の流れ着いた先が、このような国家が崩壊し、崩れ落ちていく泥沼なのである。

*1:在日米軍がもちろん本件に積極的に関わりを持つはずなどない。

*2:このインタビューで唯一救いがあった点は、この事件を見て駆けつけた警官らの反応である。小西議員が自衛官に「君は自衛官なのだから、君の言っていることは法令に反するし、大変重大な問題になるから撤回しなさい」と諭しているのを見て、警官らは皆一様に頷いていたというのである。まあ、救いというか、全く普通の、当然の話しなのだが。