またもや発射されたミサイル
2017年9月15日、北朝鮮からまたもやミサイルが発射された。ミサイルは襟裳岬沖2,000kmという日本をかすめる位置に落ち、日本の安全保障にとって極めて重大な事態となったのである。
東日本の多くの地域で朝からJアラートが鳴り響き、列島は恐怖に包まれた。
特に北海道在住の方々には多大な恐怖を与え、根室を取材されたNHK記者の方などこの通り、完全防備をせねばならん事態となった。北鮮! 許すまじ!!
今回のミサイル発射の脅威を可視化
で、今回のミサイル発射という事態が如何に日本の安全保障にとって重大なものであったかを、Excel方眼紙三段を自称するワタクシめが、Excelでちょいと可視化してみました。
地球の丸みなどはもちろん考慮せず、単純に方眼紙のマス目で縮尺を作り、高度や距離が見えるようにしたものです。
1マスは10kmで、ミサイルの弾道はよくわからないのでとりあえず距離と高度で楕円の半円を作ってみました。
今回のミサイルが発射されたのは、平壌近郊の順安(スナン)で、飛んだ距離はなんと3,700km! 高度も800kmに達し、襟裳岬沖2,000kmという日本にほど近い、極めて恐ろしい位置に落下したのであります!
それでは、御覧あれ。
……えー、とりあえずブラウザの機能使って拡大して見て下さい。
1マス10kmということは、渡島半島の位置を示している緑の帯の高さだけで、エベレストよりも高いです。また、紫の帯がジェット機の高度です。黄色の帯は「カーマン・ライン」と呼び、ここから上が基本的に宇宙空間と国際的には認識されています。
実際の弾道がどうだったのか不明なのでなんとも言えませんが、おそらく日本の領海の範囲に入る前に、カーマン・ラインを突き抜けて宇宙空間に行ったものと思われます。
……これ、北朝鮮に「とにかくお前らミサイル飛ばすな!」って文句を言うことはできるだろうけど、少なくとも「日本に向かって飛ばした」とは言えんよな。そんなこと言ったら、あらゆる宇宙開発は敵対行為になってしまう……。
襟裳岬沖2,000km
今回のミサイル発射、報道の扇動的な言葉遣いも大変気になった。この言葉なんて完全に国民の恐怖を扇動を目的としているようにしか見えない。襟裳岬なんぞよりカムチャツカ半島のほうが近いやん。で、この格好ですか。
どういう報道スタンスと指示でこんな風になったのかよく分からんが、とにかく薄気味悪いことこの上ない。
ジョージ・オーウェルの「1984年」では国家が政治的な安定のために永久戦争を遂行している。国家の結束や政治体制は、国家が「戦時下」にある時に非常に安定しやすい傾向があるからだ。
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まさかとは思うが、政府がNHKを使ってことさらに戦争の恐怖を増幅しようとしているのではないか……それは流石に疑い過ぎか?
自民党の中から呆れる声が上がったのも、宜なるかな。
ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com
そもそも話
北朝鮮が日本にミサイルを向けているのなんて、今に始まったことではない。と言うか、日本を狙っているのは今回発射したと思われる「火星12」ミサイルではなく「蘆洞(ノドン)」ミサイルである。今から20年前にはすでに完成していて、その射程は1500km~2000km。おおよそ日本をすっぽり覆うほどのものである。こいつを北朝鮮はすでに300発以上配備しており、発射台も100台程度存在する。
対する日本には弾道ミサイルを迎撃するための備えとして、現在自衛隊に6隻存在するイージス艦の迎撃ミサイルSM3があり、SM3が撃ち漏らしたとき用の迎撃ミサイルPAC3があるが、SM3はイージス艦1隻に対して8発しか積めないし、PAC3はそんなに広い範囲をカバーできない。つまり、北朝鮮が本気でミサイルを打って来たら、そもそも撃ち落とすのにミサイルが足りないのである。*1
今更ミサイルに対して列島中が騒ぎ出し、挙句「日本は平和ボケしている! 核武装だ!! 先制攻撃だ!!!」とニワカに言い出す「論客」の方々が、今後も後を絶たないだろうが、我々が北朝鮮のミサイルに狙われているのは日常の事なのである。つまり、何の事はない、ニワカ論客の今更のから騒ぎこそ平和ボケというものなのである。
結論
9/15に発射された「火星」ミサイルが日本を狙っているということはあり得ない。と言うか、20年前からすでに毎日狙われているのだが、誰も気にしていなかった。ただそれだけのことなのである。
*1:こういう数で押し切る作戦を飽和攻撃という