秋葉原で演説する、麻生と安倍の動画である。
正直言って、麻生と安倍の演説内容は、大して新味がなく聞く価値はない。それよりも演説の周辺の人々に注目してほしい。
麻生も安倍も、他党の批判を本当によくやる。5年も政権与党をやっておいてだ。で、他党批判で嘲笑が沸き起こる会場。こんな光景は先週の土曜日に見に行った立憲民主党の演説会場では見なかった。「自分より下の存在」に対する優越感を満たす場として、ここは機能しているのである。
そして、注目したいのが2つ目の動画の、ブルーのジャンパーを着たおっさんとその周りの反応だ。
この日は注目していたヤジは少なかったが、おっさんはダンボールで作ったお手製の、はっきり言って小汚いプラカードを掲げ、安倍晋三にずっとヤジを飛ばしていた。安倍なんて動画でも映らないほど遠いところにいるのだ。一人でやっても聞こえるはずもなかろうに、風車に挑むドン・キホーテのようである。
その野次を聞いて、周りの支持者が即座に反応する。
「帰れ帰れ!」
「9条なんていらねえんだよ!」
「てめえが出て行け!」
「反日は帰れ」
甲子園のライトスタンドに間違って入り、阪神ファンの中に読売のユニフォームを着て混ざったようなものだが、それにしても見ず知らずの人間にこれほどの罵声と嘲笑をよく浴びせされるものだ。
7分頃など、おっさんの耳元に向かって「安倍さん頑張れ!」と絶叫を浴びせ、威嚇する者もある。
自民党の支持者が全部こんな連中とは思わないが、集団心理の恐ろしさといったところか。また、この演説会場が、このような排他的で異様な状態を容認する空気に満ち溢れていたことは確かだ。