雑記(主に政治や時事について)

日々の雑感。政治色が高い目。

この時期に加計学園獣医学部募集の全面広告を掲載した読売新聞の異様さ

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本件はどこか取り上げるだろうと、自分はタカをくくっていたが、まさか日刊ゲンダイくらいしか大きく取り上げないとは、ちょっと意外としか言いようがない。

11/18(土)の読売新聞に、加計学園獣医学部の全面広告が掲載された件である。

 

 

www.nikkan-gendai.com

 

加計学園獣医学部募集全面広告の掲載という異様

学部の開設が認可されたのだから、生徒らを募集するのに広告を載せるのは当然だという意見もあろうが、そもそも本件はまだ国会で問題点について追求されている事案である。とても国民の大多数が納得したというような状況ではない。

今の段階で認可が下りること自体おかしいのだから、それを既成事実化するような広告を新聞社が掲載するのは、状況判断としてはありえない話である。

 

また、読売新聞は加計学園問題に際し、重要な証言者である前川氏の社会的信用を毀損することを目的としたとしか言いようのない記事も掲載している。

記事本体はすでに参照できないので、本件を強く批判している、郷原氏のブログ記事を記載する。(該当記事の全文も参照できる)

 

nobuogohara.com

 

また、読売新聞については、国会答弁において安倍首相から「憲法改正の考え方については読売新聞を熟読して欲しい」などと直々にご指名を賜った経緯から、大変政府からの信頼の篤いメディアであることは明白である。

 

www.buzzfeed.com

 

上記諸々の経緯から、加計学園の全面広告は、政府・加計学園筋からの、無言の「ご褒美」という風に見られても何ら不思議のないものであり、通常の判断ができる社会組織であるならば、今回の掲載は見送るというのが妥当というものである。*1

あるいは、読売新聞としては、「本件には『何の問題もない』。仮にどんな追求があったところで、全て無駄である。いや、無駄にしてみせる」という強い決意を、無言ではあるがメッセージとして表明するために、加計学園獣医学部募集広告を掲載してみせたのではないか? つまり、「マスメディアは、政府の御用メディアであると見られることを恐れてはならない。政府に可愛がられるためには、もっと開き直った立場を取るべきだ」という主張をしているということなのではないか?

 

他のメディアは無論、上記のような愚かな動きを叩いて回るべきである。このような愚かな動きを見過ごすことは、メディアとして無言のうちに「肯定」の側に回ったも同然である。

そもそも、このエントリーに何度か書いた「無言のXX」というのは、「忖度」と同じような構造と言うより他ないのではないか? 黙っているから、良いようにやられるのである。

 

広告掲載費用をどう捻出したのか?

それにしても謎なのが、読売新聞の全面広告などという巨額の広告掲載を、こうやってスパッと打てたという事実である。

 

www.shinbun-navi.com

 

上記リンクに記載のとおり、読売新聞に全面広告を出そうとすると、なんと47,910,000円もの巨費がかかるのである。ざっくり4,800万円である。(上記リンクの「記事下広告/原稿サイズ・掲載料金(正価)」の「全15段」を参照)

加計学園の経営が順調なのならともかく、加計学園はグループ全体でむしろ経営難に陥っており、日本私立学校振興共済事業団から52億円以上の借入をしている状況である。しかもこの金は土地、建物、修繕費にしか使用できないもので、読売新聞に全面広告を打てる金などどこにもないはずなのである。

一体この金はどこからどう出てきたものなのか? 怪しい事この上ない。

まあ、いずれにせよ、今後私学助成金が政府から出てしまえば、難なく回収できてしまう訳だが。つまり、結果として政府から読売新聞に、間接的にご褒美が出ているという形なのである。

 

読売新聞。自分のような赤い球団のファンなどからは、昔から「ゴミ売新聞」などと馬鹿にされていたわけだが、もうゴミを売るどころか、政府に飴玉もらって生きていこうと決意したようだ。

「読売」とは、江戸の昔にかわら版を読んで売っていた「読売」という行為に由来する言葉のようだが、そのような市民サイドの独立独歩の姿勢など投げ打ち、政府系メディアとして生きていく。そんなものが日本人のマスに受け入れられるのか、産経新聞の発行部数を見ればわかるだろうに。

読売新聞の歴史にとって今回の広告掲載は、悲しい結果を呼ぶことになるのではないだろうか?

*1:広告というのは依頼があれば何が何でも掲載するというものではない。依頼者の社会的信用なども鑑みて掲載しているのである。加計学園獣医学部は現在国会でその認可の是非について審議の対象となっているところであり、新聞社としても否定・肯定どちらの側からも検証できるように、社としてその姿勢が不偏不党であることを示さなければならない立場のはずである。