雑記(主に政治や時事について)

日々の雑感。政治色が高い目。

日本における仮想通貨は終わってしまうのか?

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仮想通貨価格の暴落、コインチェック社への不正アクセスによる仮想通貨NEMネム)巨額流出事件など、年明けから仮想通貨市場が揺れに揺れている。フェイスブックではとうとう仮想通貨の広告が禁止となってしまった。仮想通貨はこのまま終わってしまうのだろうか?

jp.reuters.com

www.businessinsider.jp

www.bloomberg.co.jp

 

 

仮想通貨への一般認識

インチェック社の事件以来、仮想通貨について特に関心なさそうだった人もポツリポツリとTwitterなどでつぶやき始めたりしている。その多くは基本的には、仮想通貨に対する不信感への表明である。

その中でも自分がとても気に入っているツイートをまず紹介したい。

 

もちろん、釣り半分、本質半分といった内容である。「年寄りの総意」というのは言い換えれば、金融商品の取引など財テク(笑)的なものに興味がない(というか、はっきりとは口にしないが不信感を抱いている)、日本人的な普通の人生を歩んできた、保守的な価値観を持っている人々の感情を代弁した、ということであろう。*1

流石に面白く書き過ぎであるが、なかなか本質をついたツイートなのではないかと思う。つまり殆どの人にとって仮想通貨など、株やFXのように、その商品自体や市場が持っている本源的な価値や意味などどうでもよく、ただ「値段が上がった! 値段が下がった!」のゲームをやっているに過ぎず、何かを偉そうに言ったところで、椅子に座ってギャンブルをやってるだけで濡れ手に粟でカネを稼ぐ行為の媒介でしかない、と喝破しているのである。

ライブドア事件直前の堀江貴文に対する、経済界を始めとした色んな所からのバッシングにも似たようなものを感じるし、理解できなくない。自分も堀江大嫌いだし。

 

「仮想通貨の本質はブロックチェーン技術だ! このイノベーションこそ未来の日本を云々」とか一応言ってみるが……。

しかし、敢えてと言うか、一応と言うか、とりあえず突っ込んでみるが、そもそも仮想通貨とは投機対象として作られたものではない。というか、全ての投機対象となっている商品は、元々投機対象として作られたものではない。チューリップの球根が投機のために作られたのではないことと同じである。

チューリップ・バブル - Wikipedia

 

そもそも投機とはどんなものに対してもできる。株にしても土地にしてもそうだし。日本円だって投機対象である。

FX(外国為替証拠金取引)は各国の法定通貨を取引しているのだが、国の信頼などによって通貨の価値は大きく異る。その差分を利用して利益を得るのがFXを利用した投機である。 *2

一方で仮想通貨とはブロックチェーンという技術を利用した通貨システムのことだ。仮想通貨の特徴として、下記の面があげられる。*3

  • 法定通貨のように権力機関や特別な権限を持つ発行者無しに個対個で決済手続きが完結でき、少額の取引を極めて低い決済コストで実現できる。
  • 法定通貨は発行体である政府の信用に基づき価値が変動するのに対し、仮想通貨はプログラムの信用および投資家の需要と供給によって価値が変動する。その為、仮想通貨の信頼が政治リスクによって揺らぐということはない。

上記のように、日本円や米ドルのような法定通貨に変わる、新たな決済通貨として開発されたものなのである。すなわち、仮想通貨とは国家を超克する可能性すら秘められている物なのであり、企業の資金融通の為にある株や、精々国家間の取引の為に重要な外為などとは存在のスケールが違う。したがって、アラビア氏の言うような批判は筋違いである……と反論したところで、意味があるのかといえば、正直あまりない気がする。普通の人々からの「で? だから何?」という反応のほうが、絶対に「強い」からだ。

 

何せ、「仮想通貨の特徴」に挙げた内容は、結局決済コストの削減で得するかもしれない業種の人や、政治リスクの高い国に住んでる人や、国家というシステム自体への懐疑を持っている人以外にとっては、全く関係がない。今段階では投機対象にしかなりえないだろう。

そもそも日本においてはまだ、仮想通貨で買い物などできる場所自体極めて限られている。そのことも、仮想通貨が通貨として信任されていない証拠である。

流通業者や金融機関の人など、仮想通貨の利用が推進されれば得をする人が仮にいるのだとしても、実際に流通させる側の大多数の「普通の人々」が信頼しない限り、流通が増えることはないのである。

 

仮想通貨の未来は? 単なる投機対象に終わってしまうのか?

仮想通貨に未来はあるのか? 自分は予言者ではないのでもちろんわからないが、バブル崩壊ライブドアショックリーマンショックなどを見てきた日本人が、今度はまた「ビットコインショック」や「コインチェックショック」を見てしまったのである。

金額的な影響などもちろん先に上げたバブル崩壊リーマンショックに比べれば微々たるものだが、日本人の意識に対する影響は当然小さいはずがない。大多数の日本人にとって、きっとこの仮想通貨狂想曲は「ああ。FXとかライブドアとかみたいな、ああいうアレね」みたいな印象論によって、サーッと「危ないモノ」みたいな「ふいんき」が広まって、市場ごと縮小していくのではないかという気がしている。

 

もし、仮想通貨が今後メジャーな存在になるとするなら、下記の東洋経済の記事にあるように、「巨人」アマゾンによってだろう。

toyokeizai.net

 

アマゾンは、日本でも圧倒的に支持され、信任されている。そのアマゾンが仮想通貨を発行すれば、保守的な日本人とて興味を示すだろうし、買い物が大いに安くできるのであれば歓迎するだろう。

圧倒的な流通力に加え、世界最強の仮想通貨を持った企業体が誕生し、ついにアメリカさえも超克するのである。

その時、人類はどうなってしまうのか、その世界を見てみたいので、みんなもう少し仮想通貨のことをじっと見守ってやってほしいのだが。

*1:あえて死語を使ってみたつもりだったが、「財テク」でググると結構出てくるのね

*2:日本に住んでいて、日本円を使って生活していると実感しにくいが、法定通貨といえど価値は日々変動しているので、100%安心して使えるものではない。そういう意味では一般的な日本人とて、投機とかそういうのと関係ないわけではない。いわば日本円という商品をベッタリ信用しきっているにすぎない。

*3:ブロックチェーン技術については書くと長くなる上に、自分もちゃんと理解しているか怪しいので詳細には書かないが、ざっくりいうとP2Pの技術を使って台帳管理をするというものである。そう、P2Pといえば、Winnyである。ネット黎明期に、俺のような当時の厨房が使っていたファイル交換ソフトである。あれと同じやり方で(ただし、Winnyとは違って暗号化をしっかりした上で)、各ノードに分散管理されていたエロ動画が確かに結合され、正確に保管されていたように、記録を分散管理させることで、記録の改ざん・盗難・消失などを防ぐのである。なお、ビットコインの開発者であるサトシ・ナカモト氏が謎の日本人プログラマであることもWinnyと似ている。