雑記(主に政治や時事について)

日々の雑感。政治色が高い目。

棄民世代(ロスジェネ世代)を生み出した竹中平蔵を重用するのはどこの誰か?

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下記記事でもほんの少しだけ取り上げたが、高度プロフェッショナル制度 = 残業代ゼロ制度を巡る議論の中で、竹中平蔵への怒りがネット上を中心に大いに高まっている。驚くべきことに、この怒りは左右を問わず共通のものであるようなのだが、当然といえば当然だ。

www.po-jama-people.info

 

何しろ東京新聞の紙面上で竹中は、このような発言をしたのである。

時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人に残業代という補助金を出すのも一般論としておかしい

 

竹中平蔵の言う「一般論」がどんなものなのかなど、知るつもりもなければ興味もないが、残業代という制度を担保している労働基準法の趣旨から言えば、残業代とはこういうものである。

www.fukudasiki.com

「当社は残業代を"2割引き"で支給しています。たとえば、時間給が1000円の人なら、1日8時間、1週40時間を超えたら、残業単価が800円になります。違法かと思いますが何か良い方法はないですか?」
とても若い経営者からの質問でした。

労務士としての回答は、
「法律的に貴社のやり方はホームベース、4メートル手前のアウトです」

でも、経営者としての回答は
「ホー、おもしろいことをしてますね~」なのです。

そもそも、労働基準法上の割増賃金は「罰則金」なのです。割増賃金という罰則金を払うことを嫌がる経営者が残業そのものを減らすことを期待した立法趣旨になっています。

 

この福田労務士はサイトの内容を見ても分かる通り、経営者側の立場の人間であるが、彼をしても残業代が割増で支払わなければならない理由も含めて、その趣旨が「罰則金」であるというのである。

何が「一般論として」か。残業代が補助金であるはずなどないではないか。まして竹中平蔵は、単なる経済学者ではない。竹中平蔵東証一部上場企業でもある人材派遣会社パソナの取締役会長である。いくらなんでも東証一部上場企業の経営者が残業代の趣旨を知らないはずなどないではないか。

竹中平蔵は新聞紙面上で堂々と嘘を言う男なのである。

 

 

竹中平蔵とは何者か?

新聞などで紹介されるとき、竹中平蔵のプロフィールは、いつも「経済学者」であったり「東洋大学教授」であったりする。だが、この紹介の仕方は明らかに間違っている。人の肩書を紹介するのなら、その人の保有する肩書から社会的影響力の大きい順に紹介するべきである。

竹中平蔵は、上記に書いたとおり、パソナという人材派遣会社の取締役会長であるし、もっとたくさんの肩書を持っているのである。彼の主な肩書は下記のとおりである。

 

 

自分なりに社会への影響力が強い順に並べてみたつもりだ。東洋大学には申し訳ないが、東洋大学の国際地域学部などというそれほど話題になることもない学部の教授の肩書より、内閣府傘下の会議に参加する民間議員という立場や、従業員数6,500名を超える東証一部上場企業の取締役会長という立場の方が、紹介するべき肩書としてふさわしいに決まっているではないか。*1

それにしても目が眩むほどの華麗な肩書である。一体どれほどの資産を保有しているのか、想像もつかないほどである。竹中平蔵がこれほど華麗な経歴を手に入れることになった契機は、政策シンクタンクの「東京財団」の前身となる「国際研究奨学財団」に入り、政治家との関わり合いを深めてからである。国際研究奨学財団に竹中が入ったのが1997年で、その翌年の1998年には小渕内閣の経済戦略会議の委員となり、戦略会議の理論的支柱を形成した。

 

棄民世代(ロスジェネ世代)を生み出した男、竹中平蔵

竹中平蔵小泉内閣で経済財政政策担当大臣や金融担当大臣に就任し、「聖域きなき構造改革」を主導した。

聖域なき構造改革 - Wikipedia

 

聖域なき構造改革の柱は下記のとおりである。

官から民へ

中央から地方へ

その他の改革

 

国民生活に一番影響があったのは「官から民へ」の部分だろう。特に労働者派遣法の規制緩和は、はっきり言えば棄民世代(ロスジェネ世代)を生み出した政策と言ってよい。ロスト・ジェネレーション」などと言われるが、なんのことはない、竹中平蔵らが世代まるごとロストさせた、つまり棄民したのである。*2

 

そして、労働者派遣法改正後に、労働者派遣法の規制緩和の成果を買われたのか、パソナの特別顧問に就任し、その後取締役会長にまでなっている。そして、竹中がパソナの特別顧問に就任して以降のパソナの動きが実に面白い。

パソナ - Wikipedia

2009年8月 - 特別顧問の竹中が会長に就任。
2009年(平成21年) 9月、自民党衆議院議員中山泰秀が株式会社パソナグループの代表補佐に就任。
2009年12月21日 - 本社を千代田区大手町(大和呉服橋ビル)に移転。
2010年3月 - 本社内にアーバンファームを開設し政官財界人を招いた田植え式を催す一方、2011年11月に株式会社パソナ農援隊を設立して同事業を移管。
2013年4月 - 竹中平蔵有識者委員を務める政府の産業競争力会議で、「労働移動支援助成金(300億円規模)」の制度が強化されたことにともない、再就職支援会社にパソナが選ばれる。また、内閣府に設置された「官民人材交流センター」事業を独占受注。
2014年5月 - 東南アジアで事業を拡大する為、海外部門の担当者を倍増する。
2014年7月26日 - 東京都が東京しごとセンター内に開設した 再就職を支援する専門相談窓口 「女性しごと応援テラス」の委託業務を受注。

 

竹中平蔵が、ある意味経営者として大変優秀な人間であることがよく分かる年表だ。政府に食い込み、政府の支援事業をまるごとぶんどって、自分の会社のものにしてしまうのだ。しかも自分の会社の存在基盤といっても良い、改正後の労働者派遣法は「聖域なき構造改革」で自分自身が主導して作ったのだ。言ってしまえば、金儲けの基盤をすべて自分でこしらえてしまったのだ。もちろん、沢山の棄民世代(ロスジェネ世代)の人生を犠牲にして。

 

竹中平蔵は、元々違法だった業種への派遣労働を合法化し、その仕事を自分の会社に引っ張ってきた。さらに今度は、これまで違法だった「残業代を支払わない」という行為を合法化するための、高度プロフェッショナル制度 = 残業代ゼロ制度の旗振り役まで、民間議員と企業経営者という立場をうまく使い分けてやっているのである。

さて、ここで一番最初に竹中平蔵の嘘を立証するために取り上げた、福田労務士が書いた内容を再度引用してみよう。

www.fukudasiki.com

「当社は残業代を"2割引き"で支給しています。たとえば、時間給が1000円の人なら、1日8時間、1週40時間を超えたら、残業単価が800円になります。違法かと思いますが何か良い方法はないですか?」
とても若い経営者からの質問でした。

労務士としての回答は、
「法律的に貴社のやり方はホームベース、4メートル手前のアウトです」

 

なんのことはない。竹中平蔵という男がやる仕事はいつだって、ホームベースを4メートル手前まで持ってくる仕事なのだ。*3

 

竹中平蔵を重用するのはどこの誰か?

さて、こんな竹中平蔵を重用してきたのはどこの政党か? それもWikipediaを見れば一目瞭然である。

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竹中平蔵を重用した政党は、間違いなく自民党以外存在しない。また、下記エントリーにも書いたとおり、残業代ゼロを強力に推進したのは、歴代自民党政権の中でも安倍晋三以外に存在しない。

www.po-jama-people.info

 

自民党竹中平蔵を重用し、特に小泉内閣は元々違法だった業種への派遣労働を合法化した。安倍内閣は第1次及び第2次の2回の政権に渡って残業代ゼロの合法化を主張し、2回目にして、とうとう実現しようとしている。

竹中平蔵自民党に関わる度、労働者の権利が削がれていった。それがこの15年位の歴史的事実なのだ。

 

Kill the King of Temp Agency

 自分はさっきの「残業代ゼロ法案厚生労働委員会にて強行採決さる」のエントリー内で、下記の通り怒りを表明した。

 

安倍晋三を支持する人たちには、どうかわかってほしい。高度プロフェッショナル制度 = 残業代ゼロ制度は、竹中平蔵が支持し、旗を振っているのである。そして、残業代ゼロ制度は安倍晋三以外推進したことがない制度なのだ。

安倍を政治的に殺せば、竹中も自動的に政治的に死ぬはずだ。そして安倍を政治的に殺すには、自民党を政治的に殺すしかない。*4

派遣の王、竹中平蔵を(政治的に)殺せ。そのために、自民党を(政治的に)殺せ。

www.youtube.com

*1:竹中平蔵のことを「東洋大学教授」などと紹介した東京新聞の罪は重い。マスメディアは竹中平蔵を学者扱いすべきではない

*2:日本に人材派遣会社がどれだけ多いか、下記ブログ記事を参考にされたい。完全に日本は狂っているとしか言いようがない。

日本は狂ってる 派遣会社の会長=経済戦略会議の委員 | 黄金の金玉を知らないか?

この状況を生み出したのは、間違いなく労働者派遣法の規制緩和である

*3:ねぇ。虎党でいらっしゃる竹中先生?

*4:竹中平蔵の発言に抗議するデモ、本当に誰か企画しねえのかな。国会前とかより何気に広い支持を集める気がするんだが