台風とかで災害が起こるたびに、毎度毎度語られる、反再エネ、菅政権dis、原発再稼働賛成が三位一体になった、ネトウヨ議論について考えてみた。
前に翁長知事が亡くなったときみたいにデータ採ったわけじゃないので、実数を示したりすることはできないけど、再エネを肯定的に評価しているネトウヨを俺は見たことない。アンチ原発なネトウヨは若干見たことはあるけど。*1
原発肯定 & 再エネ否定の思考様式について
「結局原発は安く、再エネには勝ち目はない」という誤解
例えばこういうのがよく見られる。
「日本は原発1か所再稼働するごとに液化天然ガスの購入を年100万トン削減できる。関西電力は3か所再稼働で年約1700億円、九州電力は4か所再稼働で年約2500億円コスト削減した」 https://t.co/RIx5jOQxFm
— H.S. Kim (@xcvbnm67890) September 1, 2018
原発再稼働が勢いをつけCO2排出量も減り良い傾向。菅直人の蛮行→国富喪失から立ち直りつつある
>>前RT
— 喜多野土竜『通潤橋物語』発売中 (@mogura2001) September 1, 2018
アスワン・ハイ・ダムの貯水量は132平方キロメートル。日本中の全部のダムの総貯水量のほぼ8倍。ちなみに、琵琶湖は27.5平方キロメートル。
アスワン・ハイ・ダムの年間発電量は10,042GWh。
泊原発の年間発電量は138,706 GWh。
風力発電や太陽光に夢を見る人は、この数字を噛みしめるべき。
まず、再生可能エネルギーの発電能力が低いというのは、完全に世界の最新の現状から乖離した知識に基づくものである。
洋上風力は先進地域の欧州で、既存の電源に匹敵するコスト競争力を持ち始めている。英調査会社ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)の調べによると、欧州の洋上風力の発電コストは2017年は1キロワット時当たり16.8円だった。3年前に比べ4割下がった。
すでに同21.1円の原子力のコストを下回っている。石炭火力は同9.6円とまだまだ安いが、英国では20年前後に洋上風力が石炭火力を下回るとの予測もある。
原発が一番安いとしている日本の電力会社と、原発が一番高いとしているブルームバーグの、試算の大きな乖離が激しく疑問なのだが、いろいろ見ると、福島原発事故後の安全規制の強化や、それに伴う人件費や建設費や維持費が莫大になっているということが原因らしい。(つまり、日本の場合、人件費、建設費、維持費が、福島原発事故の経験をを踏まえていない?)
また、ヨーロッパ諸国では近年再エネが積極的に導入されており、総発電量の20%を超えている国もある。
経済産業省:再生可能エネルギー急増に伴う欧州の対応と日本への教訓
特に洋上風力発電の分野では日本は完全に遅れている。
この遅れにより、日本の市場が完全に未整備なのを見た海外企業が、日本を一斉に草刈場にしようという動きを見せている。
再エネがむしろ環境を破壊している
こういうのもよく見られる。*2
はい、マスコミや流行りものに乗せられてたくさん投資したみなさん本当にお疲れさまでした。台風21号が不要太陽光パネル粉砕に参りますのでしばらくお待ちください。最終処理費用は各自でご負担ください。(´・ω・`)
— 僻地課長 (@bubu0404) September 3, 2018
九電、太陽光停止要請も 供給過多で秋にも:日本経済新聞 https://t.co/Dlghl95Rcz
2012年から指摘されていた
— (ლ '0')ლにゃんと! (@kimipcin) September 3, 2018
目先の金に釣られ森林伐採してどうよ?
今じゃ大雨 洪水 自然災害の元凶で命まで奪う
あげく#太陽光 ビジネス倒産のオマケ付き#メガソーラー建設反対
太陽光事業者の倒産35%増 平成29年、過去最多88件に - 産経ニュース https://t.co/kZgi4XkXLs @Sankei_news pic.twitter.com/1yTDapgFgT
太陽光パネル設置箇所のがけ崩れなどを理由に、太陽光発電そのものをだめだという話をよく聞くが、がけ崩れを起こすような建設に適さない土地に設置するから崩壊するのであって、建設用地や施工の基準がしっかりしていないという問題でしかない。
太陽光パネルの設置箇所ががけ崩れを起こしたことを理由に太陽光発電そのものを否定するというのは、強盗殺人の犯人が包丁を用いたら「包丁などという道具はけしからん」と騒ぐのと同じくらい、無茶苦茶な話だ。*3
また、太陽光発電をネトウヨが忌避する理由として、菅政権で推進されたというのがどうも非常に強いようなのであるが、彼らは政治家の好き嫌いだけで、日本国のまさに歴史的悲願である、純国産エネルギーの発展を忌避するというのである。*4
例えばこんなの。
人を直撃したら余裕で即死ですからね。菅直人には100回は見ておいて欲しい事例。#太陽光発電 pic.twitter.com/yFvHVQKxKP
— 六衛府 (@yukin_done) August 4, 2018
屋根だって人に直撃したら当然死ぬ。日本の家屋では屋根を規制すべきである。
そもそも原発と再エネは並び立たないものなのか?
そもそもネット言論において、原発と再エネはなんか並び立たないもののような語られ方をしているが、そもそもそれ自体どうなんだろうという話である。
例えばスペインは非常に風力発電の導入が進んでいて、2014年には総発電量の実に20%もの量を風力で発電した。順位でいうと2位である。
で、1位は何だったのかというと、原発である。2014年のスペイン国内における電力の22%は、原発によって発電されているのである。
スペインではおそらく、日本のように原発と再エネが並び立たないかのような語られ方がされていないのであろう。そもそも日本のエネルギー議論は、特に右側がイデオロギー闘争に傾きすぎている。*5
実際、化石燃料を使わないで発電をしたいと考えるのであるならば、原発と再エネは組み合わせとして悪くない。原発も再エネも出力調整ができないという点で、同じ弱点を共有しているが、組み合わせるとお互いの弱点を補い合えるのだ。*6
原発は出力が安定しているなどとよく言われるが、あれは安定しているのではなく、どんなに電力が余っていても、同じ出力を出し続けるしかないというだけの話だ。だから、こんな間抜けなことになってしまうのである。
これは意地でも原発を4基動かそうとするからこういう事になるのであって、原発の動かす数を減らせばいい感じに補い合えるはずだ。
夏のエネルギー需要が大きい日中帯は太陽光や風力が大きく働くので、原発を動かす数を減らした分の発電量をまかなえるし、夜間帯は原発が動いていれば十分発電できるとういうわけである。
ネトウヨの皆さん、もっと提案型の言論にしませんか?
上記のように、原発をどうしても動かしたいと言うなら、むしろ再エネとの組み合わせこそ良い感じになると思うんだが、どうだろうか? というか、こういう提案型の言論を展開しないと、結局原発ってそのうちなくなると思うんだけど、どうでしょうかね? 俺は別になくなっても構わないけど。
嫌われ施設の原発を意地でも推し、再エネ施設をなんとしてでも嫌われ施設にしたいという皆さんの情熱の源泉、正直わからないでもない。
早い話が、サヨクが再エネを推し、反原発だから、その逆をやって、嫌がらせてやろうってんでしょう?
しかし、はっきり言ってそういう議論の仕方は、戦後サヨクと全く変わらないとしか言いようがない。提案力というか、対案力がまったくない。*7
どんな世論調査見ても、原発への忌避の感情が日本中に広がっているのは事実なのであって、再エネをいくら呪ったところでその現状が変わるはずはないし、はっきり言って「ああいう連中が原発を支持している」と思われるだけだろうと思われる。
*1:再エネに肯定的なネトウヨの方がいたらコメント書いてください。よろしくお願いいたします。
*2:台風で太陽光パネルが粉砕されるのが、なんだかとても嬉しいようだね。これが反日日本人という奴か。
*3:包丁ロジック、表現規制とかの話題で用いるのネトウヨ好きなはずなのに、太陽光発電の話をするときは大概自分が同じ罠にハマってしまうという。
*4:WW2で日本が対米参戦せざるを得なかったのも、結局石油を止められたからである。また、戦後原子力を推進したのも、その教訓からである。その意味で、再生可能エネルギー利用の推進は、まさにその戦後の歩みの延長線上にあるものであると言えると思う。エネルギーを外国に握られない日本の未来、ネトウヨの皆は見てみたくないの?
*5:左側の多くが原発に反対しているのは、福島原発事故を目の当たりにした事による、安全性への危惧によるものが殆どであろう。日本の原発は全部海岸線上に建設され、しかもその海岸の多くがわずかでも大津波に襲われる可能性があるというのなら、反対するのは自然な不安の感覚であって、原発事故の様子を目の当たりにした今、イデオロギー的とは言えまい。右側の原発再稼働容認論の殆どは、その不安に対する十分な説得力を持った答えを有していない。
*6:厳密に言えば、原子力も問題なく出力調整ができるし、実際原潜なんかに積んでいる原子炉は出力調整を行う前提の設計となっている。しかし、商用原発で出力をコロコロ変えると効率が悪いので、結局出力調整はできないということ。