雑記(主に政治や時事について)

日々の雑感。政治色が高い目。

「女性支援団体Colaboを「誹謗中傷」 投稿繰り返した男性を提訴」の周辺の件 雑感

ネットの一部で最近ずっと騒がれているこの件である。

www.asahi.com

 

経緯に関してなかなか膨大なので詳細を追う気はないし、正直そんなに関心はない。ただ、このリンクの先にあるQ1~Q17に名誉毀損である旨記載してある事については、ざっくり読みしただけだが、ほぼ間違いなく名誉毀損になるのだろうなぁとの印象を持った。

 

「女性をタコ部屋に入れている」だのと言うのは、そもそもColaboのFacebook掲載記事を捻じ曲げて記載しているという事実関係がはっきりしているし、会計への疑義などについても上記リンクで全て回答しており、上記回答を突き崩し、「不正があり、公金を詐取している」と言い切れるだけの証拠をそろえることなど困難を極めるからである。

そして、俺は提訴の件自体より、むしろこの記者会見後、それでもなおColaboへの名誉毀損になるであろう(或いはなりかねない)ツイートが、あちこちで見られる、というかむしろ増加しているのではなかろうか? という現象に注目している。

それも、Colaboの弁護団の神原弁護士がこう書いているにもかかわらずだ。

 

ネット上の事案を契機に、誰かが誰かを名誉毀損で訴える。そんなことは日常的に行われていることだし、判例だって山のように積み上がっている。つまり、何を訴えれば勝て、何を訴えれば負けるのかなど、Colaboの弁護団は当然把握しており、十分な勝算を見込んで提訴し、さらに「弁護団としては、デマを流した人だけではなく、デマを拡散した人も含めて提訴を検討していることを申し上げておきたい」と明言しているのだ。

にも拘らず、Colaboと仁藤夢乃さんを支える会のアカウントや、Colabo弁護団に参加している弁護士のアカウントに、様々なリプライを飛ばす連中があとを絶たない。

 

この現象を今まざまざと見せつけられ「普通、今からここに、それも自ら飛び込んでくる奴、おる??」と仰天している。

 

Colabo側の弁護士がわざわざ名誉毀損の免責要件を丁寧に解説し、「いわんや今日以降の発言」と「ここから先は本当に許さんからな」と明言してくれているのにだ。

ネットの書き込みは、今や本当に簡単に名誉毀損になる。書き込みどころか、リツイートですら容易に名誉毀損になりうる。そういう事がはっきりしているにもかかわらずだ。

www.asahi.com

 

いや、飛び込んでくる奴が「こんなん裁判になっても勝てるわ」と思っているかもしれんとか、そんなレベルの話ではない。何しろこの裁判に自分から飛び込んでいって、得る物なんて何ひとつない。相当なレベルで社会的信頼を失うリスクはあるが、そのリスクと引き換えに得る物は何もないという……。

人間は確かにメリットなど何もないリスクを負う動物である。ヒマラヤのような極地で行う冬山登山とか、首都高で繰り返される美しくも無謀で狂気に満ちた運転とか、具体的なメリットなど誰にも説明できないリスクテイクを行う事も、人間の人間らしい精神の動きであることには間違いない。

だが、本件はそういう物にはとても見えない。何というか、「相手はフェミやし、言うたら社会の敵やから、法律とか何やよう分からんが、ネットも俺たちが味方で盛り上がっとるから、まあまあ言うてとにかく俺たちの勝ちやろ」くらいの雑な精神で叩きに走っているようにしか見えないのである。

 

この事件はおそらく第2の余命事件になると思うし、周りの連中が何百人~何千人も訴えられるようになったら、マスメディアがさらに大きく報じる事になると思う。*1*2

そうしたらこの精神や現象の詳細な分析は、色んな学識経験者がするようになるだろう。*3

 

では、俺自身はこの件にどう関わるか? ただただこの状況を、観客として楽しみたい。そう、「カイジ」で出てきた、下記シーンのように。

 

何せこの件で俺がどうにかなるリスクは何もない。騒いでいるのはTwitterの匿名アカウント共で、俺はそれに対して論評しているに過ぎない。それに対して、連中はColaboという社会で名前と顔を出して活動している団体に、しかも法的措置を取ると明言している相手に、自分からさらに名誉毀損になるであろう言葉を投げかけ続け、リツイートし続けているのである。「安全(セーフティ)という名の愉悦」を感じるよりほかにないw*4

 

まあ、弁護団の人達は、俺がこういう見かたをしている、と認識したら、それはそれで怒るかもしれない。何しろ向こうは当然真剣勝負で、Colaboに攻撃している連中を根こそぎやっつけてやろうというハラなのだから。一方で、だからと言って、俺がこういう見かたをするのが不当というわけでもない。俺が裁判に参加するわけでもないのだし、これまでにColaboの取り組みを知っていたわけでも、支援していたわけでもない中年のおっさんなので、俺が今更怒りを燃やしたとて、むしろ意味の分からないことになる。どちらかというと、「安全(セーフティ)という名の愉悦」を見せつけてやる方が、「ここから先は本当に許さんからな」と、相手方弁護士が明言しているにも拘らずガンガン突撃していくのが、どんな頭の悪い振舞いか、はっきりするとも思っている。*5

 

Colaboのメンバー及び弁護団の人達には、「あなた方が根絶やしにしようとしている連中、俺も根絶やしにしてほしいと思ってるし、陰ながら、決して反目に回ることなく、セーフティーに見守ってますよ」と言いたい。

 

以上

*1:それにしても、余命事件自体にも、第2の余命事件となるであろう本件にも、神原弁護士が関わっているというのは象徴的なものを感じる。差別と真正面から取り組むと、結局こういう流れになる、という事なのだろう。余命事件については下記を参照。

nordot.app

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*2:ちなみに余命事件においては、佐々木亮北周士両弁護士だけで、2018年11月から2020年12月までの約2年間で1000人近く提訴する事となった。

*3:フェミニズムへのバックラッシュとネットの匿名文化(特に実名で活動する団体との情報の格差)が分析のキーになってくると想像している。

*4:カイジの高層鉄骨渡りは、皆それぞれ金が欲しくて鉄骨渡りを始めるのであって、そういう意味ではリスクとリターンの見積が誤っていたという話でしかないのだが、Colaboへの突撃は、リターンが一切ない鉄骨の一本橋に、皆で踊り狂いながら自ら渡り始めるという、わけの分からない行為なのである。本当に意味が分からないw

*5:俺など、中年のおっさんである時点で、既得権者であり、ただ生きているだけで女性の敵側なので、今更怒りを燃やしたとて白々しくすらある。