GDP基準の2008SNA対応
かなり地味にしか報じられていなかった気がするが、GDPの統計値の数値の取り方が変わったのは去年の12月。
この基準の改定で、GDPが大きく嵩上げされた。この基準改定の主な内容は、GDP実質GDPの基準年を平成17年から平成23年に変更したことと、算出基準を2008SNAという基準に変更したこと。改定の概要は下記を参照。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h27/sankou/pdf/point20161222.pdf
2008SNA対応は他の国でも実施しているもので、内容は基本的に納得の行くもの。何しろこれまで下記がGDPに組み込まれていなかったというのだから。
- 研究開発費
- 防衛装備品
- 不動産仲介手数料
特に研究開発費による嵩上げ効果は大きかったとされる。で、その後にこのアピールである。
適当な数字をでっち上げることに関して、自民党の右に出る組織はありませんな。自分らで数字の基準変えて、31兆円嵩上げしてるのに、このアピールぶりw
だが、この嵩上げの動きに目をつけ、さっき挙げた嵩上げ箇所とは別のところに、怪しい箇所を見つけた方がいらっしゃった。
GDP改竄疑惑?
基準の改定は2008SNAへの対応にとどまらず、下記のこともやっている。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h27/sankou/pdf/point20161222.pdf
③ また、各種の概念・定義の変更や推計手法の開発等も実施
• 国際比較可能性を踏まえた経済活動別分類の変更(サービス業の詳細化等)
• 供給・使用表(SUT)の枠組みを活用した新たな推計手法
• 建設部門の産出額の新たな推計手法 等
「日本語でOK?」となりそうになるが、ポイントは「等」の部分。諸々色々入っているが、どうもここの部分の数値、安倍政権以降についてだけ、凄まじい数値の嵩上げ率になっているというのである。
詳しくは、先程あげたモノシリンこと明石順平氏のブログを読むか、下記書籍を買い求めてほしい。
私も買って読んだ。筆者は経済学者でも経済評論家でもない弁護士だが、経済に関する諸々の解説は私の実感ともマッチしていて、「ああ、間違いないわ」という感じで分かりやすかった。少なくとも、安倍政権がアベノミクスについて散々宣伝していた「物価が上がれば賃金が上がる」という因果関係がフワフワしている話より分かりやすかった。
そして、GDP嵩上げの話。正直凄すぎて、ちょっと半信半疑な部分もある。だが、統計のネタ自体はどうもインチキでもなさそうなのである。
誰か否定してくれ……。
GDPは積み上げで出している数字である。積み上げで出している以上、明細が存在しないことはありえない。つまり、改竄すれば基本的にバレる数字なのである。
官僚は、日本で最も優秀な学歴エリートを集めた、最強のエリート集団である。彼らはそのことを自覚し、誇りを感じながら仕事をしているはずである。基本的に官は政に従属するものなので、彼らは政治家や時の権力者に忠実ではあるが、それは自分たちの役目をそうわきまえているからに過ぎないはずである。
たとえ安倍政権に要請されたとはいえ、ちょっと突けばすぐバレるような数字のウソを、日本最強のエリート集団である彼らがやるだろうか……? 安倍など「総理、それは流石に不可能でございます」といなすことくらいできるはずだ。自分が半信半疑になるポイントはそこである。
官僚の誇りとかそんなレベルの精神論ではない。やればバレるに決まっているし、程度が低すぎる。いくらインチキするのでもここじゃない。大体、GDPとは国家の基礎的な統計である。GDPを改竄するような国家が、先進国など名乗れるはずがない。
だが、明石氏のブログや著作に出てきた諸々を見ると、どうも「やったな」としか思えないのだ。それは言ってしまえば、「日本人はその最高レベルのエリートすら、調べれば誰にでもわかる嘘をやってしまうような、程度の低い民族だった」という事を証明することになってしまうのだ。これでは安倍政権を日本人が選ぶのも納得できる。
誰か具体的な根拠をあげて、明石氏の意見を否定してほしい。明石氏は「絶望してはならない」と言っているが、GDPを改竄するような民族に、未来などあろうはずがない。