雑記(主に政治や時事について)

日々の雑感。政治色が高い目。

日大アメフト部問題で注目される「危機管理学部」について

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日大アメフト部の危険タックル問題で、左側の人達の中から、下記のようなことを言う人達が散見される。

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たしかにこの問題は、下記のようにモリカケと構造的に似た問題であり、「安倍化」と言いたくなるのもわかるが、少なくとも自分は「安倍化」とは捉えていない。

矛盾する説明・すぐバレる嘘

安倍:森友関連の文書は全部捨てた → メチャクチャ沢山見つかる。

日大:タックルに行く所を見ていない → タックルを見ている画像がある

丁寧さを欠く対応

安倍:モリカケをやりたくないがために国会を開かず、選挙までやる

日大:ブチギレ司会で火に油を注ぐ

部下に責任を押し付ける

安倍:文書改竄の責任は財務省の佐川

日大:直接選手に支持しているのは内田監督ではなく井上コーチ

 

こういう、組織的な事実の改竄、誤魔化し、責任の押しつけなどは、旧日本軍でもさんざんやらかしていたことであって、どちらかというと日本人の組織そのものの宿痾であると言っても良い。いわば、モリカケ問題も日大アメフト問題も、「剥き出しの日本人を見せつけられている」問題なのである。

日大OBとして大変悲しくなる話であるが、「なるほど、『日本大学』と名乗るだけのことはある。日本の、日本人による、日本大学なんだなぁ……」と思わざるを得ない。

 

さて、本エントリーで書きたいのは、日大アメフト部自体の問題ではなく、上記の日大の非常に馬鹿げた危機管理で注目を浴びてしまった、日大の「危機管理学部」および「危機管理学」である。

世間からは「危機管理学部があるのに、こんなクソ対応やってるのwww」と嘲笑を浴びる始末であるが、どうやら日大の危機管理学部というのは、そういう学問をやっているところではないようなのである。

 

 

危機管理とは? 

まず、危機管理とは何かということについて、Wikipediaから概要を引用する。

危機管理 - Wikipedia

危機管理という概念が提唱されるようになったのは第二次世界大戦終結した後の核時代からの事態であり、オスグッドやカーンなどによって国家間での武力紛争が核戦争へと拡大する危険が指摘されていた。彼らは紛争の拡大が起こる根本的な原因とは国益を追求するために意図的に危険を伴う競合的な国際関係であると考え、このような相互作用の働きを政策的、戦略的に抑制する危機管理の必要を主張したのである。

リスクマネジメント(Risk management)を含む概念であり、「危機管理」として使用される場合にこれらのいずれを指すか、または両方を含んでいるかは少し曖昧である。

第一次世界大戦の戦争突入あるいは戦線拡大、甚大な被害を招く事態へのエスカレーションを防止することを目的として、その回避のための方策が検討されたことが起源とされる。ゆえに、現在では、防災や防犯、テロ対策、企業経営などさまざまな危機(マルチハザード)を対象とするが、本来は国家間の安全保障が中心課題とされる。

 

本来は国家間の安全保障に関するものが中心課題であるが、現代において広く一般に危機管理と呼ばれるものは、マルチハザードを対象としたものであるという。確かに、現代の社会のニーズから言っても、企業経営のリスクにまつわる問題を取り扱うというのが求められるはずである。

とりわけ今回の日大の謝罪会見など、まさしく企業の(というか学校法人の)リスクマネジメントの領域であったと言えるであろう。反則を実行してしまった宮川氏の、弁護士も雇って事前に内容を練り上げ、話すことと話さないことを切り分けて、本人が堂々と喋った会見こそ、まさしくリスクマネジメントのお手本であって、日大のは対象的に駄目なリスクマネジメントの典型であるといえる。*1

ここで疑問が出るわけだ。「こんな、学生にも劣る危機管理をやっている日大の危機管理学部では何を教えているの?」と。

 

日大危機管理学部では何を教えているのか?

さて、では日大危機管理学部では何を教えているのか。危機管理学部の学校案内にはこのように書いてある。

「オールハザード・アプローチ」の視点で、
多様な危機を理論と実践の両面から追究します。

「災害マネジメント」、「パブリックセキュリティ」、「グローバルセキュリティ」、「情報セキュリティ」の4領域を置く危機管理学部は、「オールハザード・アプローチ」の視点で社会の安全を脅かすあらゆるリスクを研究対象とします。法学と危機管理を融合した危機管理学のカリキュラムを、研究者教員と日本の危機管理の最前線で活躍してきた法務省国土交通省警察庁などの官公庁出身の実務家教員が連携して展開します。理論と実践のバランスがとれた教育プログラムで、総合的な危機管理能力を養成するのが特長です。高い志をもって学び、将来、社会のさまざまな分野で危機管理をリードする人材となってくれることを願っています。

 

「オールハザード・アプローチ」と言う割には、おそらく現代において非常にニーズが高いであろう、企業及び法人のリスクマネジメントに関する分野がすっぽりと抜け落ちているのが不思議な点である。

また、特に目を引くのがこの部分だ。

日本の危機管理の最前線で活躍してきた法務省国土交通省警察庁などの官公庁出身の実務家教員が連携して展開します。

 

官公庁OBを大量に受け入れているのだろうと推測される……と思ったら、すでに突っ込んでいる方がおられた。

news.nifty.com

「日大には『危機管理学部』なる学部が2016年4月に発足していますが、この学部は別名”天下り学部”といわれ“霞が関”や“桜田門”と強いつながりがあるのです。霞が関とパイプを深めた日大の田中英壽理事長は、警察庁法務省防衛省国土交通省のサポートを受けることで、文系初の危機管理学部の体制を整えることに成功しました。その結果、危機管理学部は初代学部長こそ日大卒ですが、教授の大半が東京大学卒。しかも10人の教授のうち6人が官僚OB(警察、法務各2、国交、防衛各1)です」(事件ライター)

 

「なるほど」と半笑いになるほかない。刑事事件化してもおかしくない本件だが、内田前監督が強気に出るわけだ。

 

危機管理学とは?

それにしても「危機管理学」というのも耳慣れない学問である。危機管理という言葉は頻繁に耳にするし、自分も口にするが、「危機管理学」とは?? 「危機管理学」と銘打つからには、「危機管理学会」というのもあるのだろう。

そんなわけで、「危機管理学会」のサイトを開いたら、こんなんでした。

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富士山にサクラ……明治150年……日本会議系とかの、決して変なウヨサイトを開いたわけではないが、あまりにも強い既視感が……。*2

そして見よ! 燦然と輝く名誉会長「安倍晋三」の名前を!!w

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特別顧問が何故か出雲大社のトップである千家尊祐で、他の役員も自衛隊OBや公安OB……完全に嫌な予感しかしない。

 

そして、トップページの宣言だかなんだか分からない文章の、2017.12.1に更新したとされる「ノーベル賞は世界的な評価基準」のある部分に注目したい。

日本人の生き残りのため、教育改革を断行し、将来の各分野での愛国心を持った世界的な指導者を育てなければならない。このため、文科省や外務省の体質の改善が急がれる。特に、文科省は、「面従腹背」を座右の銘と公言する東大首席卒の事務官のトップが居たり、加計学園森友学園の業務を問題化するようにリークして、マスコミに騒がせ、長期にわたり国政の足を引っ張った。このような文科省では、日本の将来を担う青少年の教育を任せるのは問題が多く、心配である。

 

見た瞬間「ブフーっ!」って吹き出しましたよ。モリカケやんけ!!! 

 

またここでも学問が食い物にされている疑惑が……

さらに、日本に「危機管理学部」のある大学は何処かというと、このエントリーを書いた2018年5月27日時点でたった3校しかない。

危機管理学部 - Wikipedia

危機管理学部(ききかんりがくぶ 英称:Faculty of Risk and Crisis Management)は、危機管理の基本技術を身につけ、さらに健康、安全、安心を求める応用技術を修得して、安全で平和な社会を実現するトータルコーディネーターを育成する学部。

日本の研究・教育機関では従来積極的に扱われてこなかった危機管理の専門家を養成する学部である。

日本では千葉科学大学(2004年4月)、日本大学(2016年4月)、倉敷芸術科学大学(2017年04月)などに設置されている。

 

ここでもまた吹き出しましたよw 日本に住んでて、普通にテレビつけて見てたら、こんなん「日大以外、全部加計やん!www」ってなりますやんw

危機管理学って大丈夫なのかな? なんかまた変な政治家への餌になってるだけなんじゃないの? という疑惑が浮上した次第。

 

追記

危機管理に関する学会って、どうも色々あるらしい。ただ、「危機管理学会」と検索して一番に出てくるのは、安倍ちゃんの「日本安全保障・危機管理学会」だが、こっちは日本学術会議の協力学術研究団体に名前を連ねていない。一方「日本危機感理学会」は名前を連ねている。ただ、こちらの会長の池田十吾もこんなんですが……。

www.sankei.com

池田十吾・国士舘大教授は、東京裁判に関し「戦前の日本の行為は侵略的で全て悪だという一方的な判決だった。教育界でも東京裁判史観に立つ日教組が勢力となり、日本の伝統や誇りを傷つけた」と批判した。
首相の靖国神社参拝を支持する米国の日本研究者、ケビン・ドークジョージタウン大教授は「東京裁判の議論は全人類のためになるようなものにしたい」と述べ、東京裁判のさらなる検証が必要だと説いた。
高橋史朗・明星大教授も、安倍晋三首相がインド訪問の際に東京裁判で日本を擁護した故パール判事の子息と面会したことを取り上げた上で、「インドの研究者との共同研究を含め、(東京裁判について)国際的な議論が深まることを期待している」と語った。

 

高橋史朗……日本会議案件ですやん。

*1:日大OBとして、奥野氏には後輩が本当に申し訳ないことをしたとお詫びしたい。また、母校の一連の対応は誠に恥ずかしく、全国の皆々様方には大変な不快感を与えてしまい、申し訳なく思っております。

*2:それにしても、日本会議系団体のロゴのデザインって、驚くほど統一感がありますな。富士山か、桜か、青空か、そのどれかは必ず出てくる。