ついにというか、認可される見通しとなった。衆議院選挙直後の特別国会は、当初の安倍内閣の目論見だと、11月8日までの超短期での開催だった。加計学園問題を年内はスルーさせるつもり満々だったことは明らかで、まさに、下記の記事に書いたとおりの目論見だったのである。
この目論見を、世論のガス抜きのためなのか、「流石にこのままでは」と誰かが(皆が?)思ったのかは不明だが、自民党がひっくり返し、39日もの異例の会期を設定した。この事について、まず自民党を高く評価したい。
安倍晋三の国難を突破する解散によって、国会がだいぶ長い間途切れてしまったため、加計学園問題の論点は何だったのか、記憶が薄れてしまっていた。自分の記憶を呼び覚まし、論点を整理しようと色々探したら、郷原氏が大変丁寧に論点を記載されていたので、まずはリンクを張っておく。
とてつもなく長い記事だが、指摘している安倍内閣側の問題点は、下記4つである。
1.は「そもそも安倍晋三の指示や意向による物だったことを立証できるのか?」という話。
2.は「利益相反になるのではないか?」という話。
3.は「安倍側が掲げる『獣医学部新設を50年門前払いし続けてきた、文科省の設定した規制のあり方自体が問題なのであって、文科省の反論など一顧だに値しない』という論点は妥当なのか?」という話。
上記について、自分なりの解釈で郷原氏の見解を超ザックリ整理するとこうなる。
- 安倍晋三に認めさせるのはまず無理だが、間接的な証拠などから推測するに、限りなく黒に近いグレー。
- ここに問題があるのは明らかだが、仮に安倍晋三がここを認めても致命的な問題とはいえなかった。なのに強硬に問題を認めない旨の主張をすることで、火に油を注いだ。
- では閣議決定した石破4条件はなんだったのか? 石破4条件はむしろ獣医学部新設を検討する側にこそ挙証責任を求める内容なので、文科省に挙証責任を求めるのは論理として破綻している。*2
- 立証は難しいが、そもそも犯罪でなければ問題ではないということにはならない。自分が現役の検事だったら、内偵しておきたいポイントはある。
自分の意見ともほぼ同じである。加計学園問題については、選挙が終わってなんだか「禊は済んだ」みたいな流れになっているのが大変恐ろしいのだが、何一つ論点が解消されていないどころか、何もかもスルーして認可してしまえという、あり得ない動きになっている。こんな事ではとても近代国家とはいえないだろう。
そして、最終的に加計学園問題は、税金が正しく使われるのかについての審査の過程の問題であり、すべての納税者の問題である。
今治市が加計学園に投じる100億円が、何人の生涯賃金に相当するのか。と、考えれば、見過ごしにしてはならない話なのは明らかである。
*1:なお、4.について記された箇所に、「アイサワ工業」との文言があったのにドキッとし、もしやと思って検索したら、やはり岡山1区の逢沢一郎先生のご親族が経営されている会社だった。郷原氏もアイサワ工業について「凡そ、世界の最先端のバイオ施設の150億円もの規模建設工事を受注するのに相応しい企業とは思えない」との見解を示されている。それにしても、当選11回の大ベテランである逢沢先生は、なぜ一度も入閣できないのか……。
*2:石破4条件とは次のようなものである。《現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化し、ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり、かつ、既存の大学・学部では対応が困難な場合には、近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う。》